ヒューゴの不思議な発明
2012年3月19日
しばらく書いてなかったので、facebookの方に書いた映画の感想を転送。
ヒューゴの不思議な発明。基本的に、良い映画です。はい。
(転送開始)---------------
今日、映画「ヒューゴの不思議な発明」を観てきたのですが、これ、映画好きにはたまらない映画ですねぇ。
映画の技術的発展史を知っている方には、ぜひぜひぜひ、3D版で観て欲しいものです。3Dで観てこそ、この映画の持つ人類の歴史の有り様に沿ったおもしろさがわかるように思います。
特に僕が声を大にして言いたいのは、この映画はまさに「立体映画」というものの、本質的魅力をとても上手に見せてくれている点でして、多分、今後の立体映画は、この映画の演出をお手本にしなければならなくなるだろう、ということです。
個人的に立体写真を撮影してみたりもしているのでよく分かるのですが、立体写真は「狭い空間」を扱うことの方が得意なんですよね。だから、実は3D映画というのは広大な空間が出てくるビッグタイトルにはあまり向かないのです。だから、アバターみたいな世界は実はそれほど立体の魅力は活かされないのです。(いやまぁ演出次第だし、アバター自体はとても面白かったですけど。)
ヒューゴは、立体映画が狭さ表現に向くということを、実によく分かって設計して制作されているなぁと、ものすごく感心しました。
そういう意味で、真の意味で新時代の映画、と言えると思います。
ちなみに、「狭い空間」を描くのが得意、ということは、あまり大きな社会的な話を描くより、とても個人的な、小さな人間個人を描く方が向いているということでもありまして、そういう意味でも、この映画は的確かつ適切。とても良い映画を観たなぁと感じました。
いやまぁ、映画好き以外の人には、ちょっとした小作品にしか見えない危険もあるんですけど。
ともあれ、この映画はぜひ、3Dでどうぞ。立体空間の表現力の素敵さが良く伝わると思います。はい。
(転送終了)----------------------------
立体映画を評価するときに、どうしても外せないよなぁと思うのが、『遥かなる夢 ニューヨーク物語』というアイマックスシアターで上映された作品で、この映画がすごく良かったんですね。
いまはなき大阪は、サントリーアイマックスシアターの作品紹介のテキストから引用しますと、
(引用開始)---------------------------
『遥かなる夢 ニューヨーク物語』は、約100年前にアメリカ・ニューヨークへ移住した祖先レオポルド・ミントンの家族を探すため、密航してニューヨークへとやってきた11歳のロシア人少年・トーマスを主人公とする物語です。当館では1997年に初公開され、その心あたたまるストーリーと、巨大立体映像の特長を最大限に活かした映像とが評判を呼び、6ヵ月で約13万人ものお客様にご覧頂きました。巨大立体映像の名作の一つとして呼び声の高い本作を、アンコール上映いたします。
『遥かなる夢 ニューヨーク物語』で、主人公トーマスがたどる旅、それは彼自身の一族の歴史をさかのぼる旅であると同時に、日々変貌していく巨大な街・ニューヨークのかつての面影をたずねる旅でもありました。約100年前にアメリカ・ニューヨークに移住し立体写真カメラマンとなったレオポルドの家族を探す手がかりは、彼が故郷の両親に送った立体写真と手紙のみ。古ぼけたモノクロの立体写真にうつる摩天楼の建築現場や、週末のリゾート地として賑わうコニーアイランドの風景から、日一日とめざましい発展をとげていくニューヨークを支える移民たちの姿が浮かび上がります。
(引用終了)---------------------------
と、こうなっていて、このあたりの雰囲気や設定が、実は「ヒューゴ」もとても似ているわけです。
「遙かなる」の方は静止画の立体写真と、動く3D映画との映像史を扱っていた「家族映画」だったわけですが、「ヒューゴ」の方は、映画が生まれたばかりの時代と、最新の3Dとを映画の技法の歴史として紹介する「家族映画」なわけで、とても近い。
静止画から動画になり、白黒からカラーになり、2Dから3Dになることで、映画は表現として、より「リアル」に近くなるわけで、そうなると、大向こうをうならせる大作映画にするより、より身近な「人間」を描く方が、表現技法の良さが、より効果的になってくるんですね。
だから「広い」より「狭い」を描く方がいいし、「社会」より「家族」を描く方がしっくりくるわけです。
実際「遙かなる」では、11歳の少年が船に密航しているところから始まるのですが、その狭い船室で見つからないように隠れている閉塞感が3Dだと、とてもリアルで良いのです。物陰に隠れている感覚が立体映像のごちゃごちゃの中だと、すごく感じられる。
「ヒューゴ」の主人公の男の子も、駅の時計台という狭苦しくて、とてもごちゃごちゃした場所に隠れ住んでいて、その息苦しさや密閉感みたいなものが3Dだと、とても良く伝わるわけです。
アバターも観たし、僕は好きな映画なんですけど、でもって、世間的にもアバターが立体映画の新しい地平を切り開いたように見られたりもしてるんですけど、でも、アバター的な立体映画の方向性は違うよなぁととても思う。アバターみたいな、広くて大きな事を描く映画は立体映画でなくても良いよ。
立体映画は、小さくて、狭くて、身近なものを描く事にこそ使って欲しいなぁとしみじみと思います。
昔の「Uボート」みたいな、潜水艦に乗り込んでる雰囲気のような映画だと、すごく立体映画の良さが活きるんですけどねぇ。
誰かやらないかな。3D版「Uボート」。ものすごい密閉感と切迫感が出て、おもしろいと思うんだけど。
p.s.
しかしヒューゴにクリストファー・リーが出てるんですけど、この人、もう90歳ですよ。
なのに、スターウォーズには出てるわ、「チャーリーとチョコレート工場」にも出てるわ、近々ホビットの冒険にも出るわと、仕事しすぎ。すごいなー。
スターウォーズでは、デジタル技術のマジックではあるんだけど、ヨーダと剣劇を見せてましたからねぇ。いやまぁ、動きは吹き替えでしょうけど。
長寿で良い仕事をし続ける。人間はみな、こうでなくちゃねぇと思います。
ヒューゴの不思議な発明。基本的に、良い映画です。はい。
(転送開始)---------------
今日、映画「ヒューゴの不思議な発明」を観てきたのですが、これ、映画好きにはたまらない映画ですねぇ。
映画の技術的発展史を知っている方には、ぜひぜひぜひ、3D版で観て欲しいものです。3Dで観てこそ、この映画の持つ人類の歴史の有り様に沿ったおもしろさがわかるように思います。
特に僕が声を大にして言いたいのは、この映画はまさに「立体映画」というものの、本質的魅力をとても上手に見せてくれている点でして、多分、今後の立体映画は、この映画の演出をお手本にしなければならなくなるだろう、ということです。
個人的に立体写真を撮影してみたりもしているのでよく分かるのですが、立体写真は「狭い空間」を扱うことの方が得意なんですよね。だから、実は3D映画というのは広大な空間が出てくるビッグタイトルにはあまり向かないのです。だから、アバターみたいな世界は実はそれほど立体の魅力は活かされないのです。(いやまぁ演出次第だし、アバター自体はとても面白かったですけど。)
ヒューゴは、立体映画が狭さ表現に向くということを、実によく分かって設計して制作されているなぁと、ものすごく感心しました。
そういう意味で、真の意味で新時代の映画、と言えると思います。
ちなみに、「狭い空間」を描くのが得意、ということは、あまり大きな社会的な話を描くより、とても個人的な、小さな人間個人を描く方が向いているということでもありまして、そういう意味でも、この映画は的確かつ適切。とても良い映画を観たなぁと感じました。
いやまぁ、映画好き以外の人には、ちょっとした小作品にしか見えない危険もあるんですけど。
ともあれ、この映画はぜひ、3Dでどうぞ。立体空間の表現力の素敵さが良く伝わると思います。はい。
(転送終了)----------------------------
立体映画を評価するときに、どうしても外せないよなぁと思うのが、『遥かなる夢 ニューヨーク物語』というアイマックスシアターで上映された作品で、この映画がすごく良かったんですね。
いまはなき大阪は、サントリーアイマックスシアターの作品紹介のテキストから引用しますと、
(引用開始)---------------------------
『遥かなる夢 ニューヨーク物語』は、約100年前にアメリカ・ニューヨークへ移住した祖先レオポルド・ミントンの家族を探すため、密航してニューヨークへとやってきた11歳のロシア人少年・トーマスを主人公とする物語です。当館では1997年に初公開され、その心あたたまるストーリーと、巨大立体映像の特長を最大限に活かした映像とが評判を呼び、6ヵ月で約13万人ものお客様にご覧頂きました。巨大立体映像の名作の一つとして呼び声の高い本作を、アンコール上映いたします。
『遥かなる夢 ニューヨーク物語』で、主人公トーマスがたどる旅、それは彼自身の一族の歴史をさかのぼる旅であると同時に、日々変貌していく巨大な街・ニューヨークのかつての面影をたずねる旅でもありました。約100年前にアメリカ・ニューヨークに移住し立体写真カメラマンとなったレオポルドの家族を探す手がかりは、彼が故郷の両親に送った立体写真と手紙のみ。古ぼけたモノクロの立体写真にうつる摩天楼の建築現場や、週末のリゾート地として賑わうコニーアイランドの風景から、日一日とめざましい発展をとげていくニューヨークを支える移民たちの姿が浮かび上がります。
(引用終了)---------------------------
と、こうなっていて、このあたりの雰囲気や設定が、実は「ヒューゴ」もとても似ているわけです。
「遙かなる」の方は静止画の立体写真と、動く3D映画との映像史を扱っていた「家族映画」だったわけですが、「ヒューゴ」の方は、映画が生まれたばかりの時代と、最新の3Dとを映画の技法の歴史として紹介する「家族映画」なわけで、とても近い。
静止画から動画になり、白黒からカラーになり、2Dから3Dになることで、映画は表現として、より「リアル」に近くなるわけで、そうなると、大向こうをうならせる大作映画にするより、より身近な「人間」を描く方が、表現技法の良さが、より効果的になってくるんですね。
だから「広い」より「狭い」を描く方がいいし、「社会」より「家族」を描く方がしっくりくるわけです。
実際「遙かなる」では、11歳の少年が船に密航しているところから始まるのですが、その狭い船室で見つからないように隠れている閉塞感が3Dだと、とてもリアルで良いのです。物陰に隠れている感覚が立体映像のごちゃごちゃの中だと、すごく感じられる。
「ヒューゴ」の主人公の男の子も、駅の時計台という狭苦しくて、とてもごちゃごちゃした場所に隠れ住んでいて、その息苦しさや密閉感みたいなものが3Dだと、とても良く伝わるわけです。
アバターも観たし、僕は好きな映画なんですけど、でもって、世間的にもアバターが立体映画の新しい地平を切り開いたように見られたりもしてるんですけど、でも、アバター的な立体映画の方向性は違うよなぁととても思う。アバターみたいな、広くて大きな事を描く映画は立体映画でなくても良いよ。
立体映画は、小さくて、狭くて、身近なものを描く事にこそ使って欲しいなぁとしみじみと思います。
昔の「Uボート」みたいな、潜水艦に乗り込んでる雰囲気のような映画だと、すごく立体映画の良さが活きるんですけどねぇ。
誰かやらないかな。3D版「Uボート」。ものすごい密閉感と切迫感が出て、おもしろいと思うんだけど。
p.s.
しかしヒューゴにクリストファー・リーが出てるんですけど、この人、もう90歳ですよ。
なのに、スターウォーズには出てるわ、「チャーリーとチョコレート工場」にも出てるわ、近々ホビットの冒険にも出るわと、仕事しすぎ。すごいなー。
スターウォーズでは、デジタル技術のマジックではあるんだけど、ヨーダと剣劇を見せてましたからねぇ。いやまぁ、動きは吹き替えでしょうけど。
長寿で良い仕事をし続ける。人間はみな、こうでなくちゃねぇと思います。
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